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化学事故発生ゼロを目指す 2013-01-18

“化学事故発生ゼロを目指す”

有害化学物質安全管理に関する政策が大幅に改善
休業・廃業業者や冬季の脆弱な施設・事業場を対象に安全管理、非常時の対応などを点検し、それを基に有毒物安全管理に関する改善方案を設ける予定
取扱い施設の管理基準を具体化し、安全・品質確保のために「有毒物取扱施設基準」と「有毒物管理基準」改正を推進
国家政策調整会議(2012.12.21.)で確定された「有害化学物質安全管理改善対策」を計画通りに持続的に推進


 

環境部は18日、有害化学物質から国民の安全を保障するために、化学事故の対応・収拾システムの構築と事前の予防に主眼を置き、「有毒物安全管理対策」を推進することを明らかにした。

(株)ヒューブグローバルの弗化水素の漏出事故やウンジンポリシリコン(株)の塩酸漏出事故、グローバルディスプレイの弗化水素漏出事故など、昨今の頻繁な化学事故により有毒物安全管理に対する国民の不信感が日々高まっている現状である。
ここで環境部では、有害化学物質から国民の安全を保障するために、化学事故の対応・収拾システムの構築と事故の予防に主眼を置き、有毒物に対する安全管理を進める予定である。

環境部ではまず、廃業した有毒物取扱業者と冬季の有毒物管理が脆弱な事業場を対象に、安全管理及び非常事態の実態を点検、これを基に「有毒物安全管理改善方案」を設ける予定である。
このために、来る28日から2月6日までに点検を実施し、関連の専門家と一緒に直接事業場に訪問、安全の点検と非常対応の実態を確認すると共に、現場の意見を取り入れ有毒物管理の不足点を補完する予定である。

特にこの度の点検では、休業・廃業業者までも点検対象とし、今まで管理の死角ゾーンに置かれた休業・廃業業者に対する管理・改善方案を設けることに主眼を置く計画である。
これと共に、冬季の有毒物安全管理の脆弱地帯である中小産業団地内に位置した有毒物取扱事業場と事故が発生した履歴のある事業場を対象に、防災装置の備付及び適正性など、有毒物の安全管理実態を重点的に点検する。

また、有毒物の取扱施設の安全及び品質確保と安全な有毒物管理のために「有害化学物質管理法」法令の「有毒物取扱施設基準(施行規則 [別表3])」と「有毒物管理基準(施行規則 [別表4])」の改正を進める。
有害化学物質管理法令の施設基準には “防壁を築き、漏出事故の際には近隣地域に拡散することを防止しなければならない”など、原則的な事項を規定しており、実際の安全保障には不足しているのが現状である。
これにより、環境部は実質的な有毒物取扱施設の安全を保障できるように、製造施設や使用施設、貯蔵施設に関する設置基準を施設別に具体化し、施設別運営方法に対する規定も新設する方針である。
また、有毒物管理基準を改正し、取扱過程(製造、輸入、販売、保管・貯蔵、運搬、使用)別に事業主と作業者が守るべき事実を具体化する予定である。

これと共に、去る12月21日国家政策調整会議で確定された ‘有害化学物質安全管理改善対策’にもより拍車を掛けて推進し、有害化学物質管理の安定性を高める方針である。


<化学事故の対応・収拾システムを構築>

本対策は大きく分けて 「化学事故対応・収拾システムの構築」 と 「化学事故事前予防」 の2つに構成されて施行されることになるが、このうち 「化学事故対応・収拾システムの構築」のために、環境部では化学事故対備・対応・収拾・復旧を取り仕切る中央機関として、‘化学物質安全員’と近距離で迅速に初動対応をサポートする’化学物質安全センター※ など、対応のための専門組織を補強する計画である。
    ※ 化学物質安全センター: 被害範囲、退避距離などに対する状況判断が可能。初動対応から事故過程の全体を総括的に取り仕切ることができる専門家が常駐

これと共に、化学事故が発生した際、機関と機関をつなぐオンラインネットワークを通じて、非常対応機関にリアルタイムで情報を提供する‘化学事故対応情報システム(CARIS)’の活用性を高める。
    ※ Chemical Accident Response Information System、化学事故に備えた特殊化学分析車両、分析装備、多機能型の除毒施設などを拡充し、なおかつ汚染物質の拡散評価機能の補強、化学事故関連情報の拡充などに活用

また、事故対処能力を内在化させるために、関連機関の合同模擬訓練を実施し、事業所自体の教育・訓練も義務的に実施するよう制度化する。
住民の不安解消と事故の早期収拾及び被害拡散を防止するために、事業場別で取り扱う化学物質に対する管理計画を事業主が住民に事前に告知する手続きを設けるほか、不意の事故が発生した際には事故の直後、住民の健康影響調査や事後環境影響調査を迅速に行う予定である。


<化学事故の事前予防>

‘化学事故の事前予防’のためには、まず、事故が発生した際に事故の影響や具体的な対応シナリオ、事故時の措置計画及び住民保護措置などを保管し、自らの防除計画※ のために管理計画として拡大する。
    ※ 事故対備物質(69種)を指定数量(物質別の製造。使用量30~2,250トン)以上を取り扱う業者が設ける計画であり、取扱物質有害性、防除装備の現況などを含む。

また、来る2月2日より、地方自治団体に移譲される有毒物管理を環境庁に回収し、有毒物取扱業者、取扱量、施設などに対する全国単位の統合的な管理を進める計画である。
これと共に、現在登録・申告義務のない事故対備物質に対する許可・申告制度を新設し、事故対備物質を一定量以上取り扱う業者は、化学事故対備義務保険に加入させる予定である。
    ※ 事故対備物質(69種): 急性毒性、爆発性が強く、事故が発生する可能性が高い、もしくは事故の発生時にその被害規模が大きいと憂慮される化学物質

また、現在は安全上の危害が憂慮される場合だけ安全診断を命ずることができるが、今後は一定規模以上に有毒物を取り扱う施設は最低2年毎に専門機関の安全診断を受け、その結果を提出するよう義務化する予定である。
これと共に、化学物質の運送車両に毒性や引火性など、危険であることを直ぐに把握できるようGHS*対応の危険物標識、UNコード付着だけでなく、車両輸送の計画(輸送物質、輸送予定経路など)システムの入力、GPS付着を義務化し、輸送状況をリアルタイムでモニタリングするなど、事故が頻繁に発生する有毒物の車両輸送に対する管理も強化する予定である。
    ※ GHS(Globally Harmonized System): 危険、危害性標識とコード

環境部関係者は “国民の幸福と福祉などは安全が保障されない限り享受することはできない。” と述べ、“安全な社会を築き上げるためには、事業場の指導・点検に先立って、事業場の安全に対する鈍感な意識を未然防止することが何よりも重要である”と強調した。


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