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廃水排出施設の認許可、環境汚染の未然予防機能を果たせず 2012-11-22

廃水排出施設の認許可、環境汚染の未然予防機能を果たせず

特定水質有害物質の管理実態調査(60ヶ所)の結果、73%(44ヶ所)で未許可の特定水質有害物質が検出
環境部では認許可制度の改善のために、検証式許可制、許可内容の更新制度などを導入する計画

 

地方自治団体に委任された廃水排出施設の認許可に対し、手抜き業務の実態が深刻なレベルにまで至っていることが明らかになった。
環境部では、流域(地方)環境庁の主管で、今年8月~9月(2ヶ月)の間、全国60ヶ所の廃水排出業者の特定水質有害物質の管理実態を調査した結果、調査施設の半数以上から特定物質が無断で排出されたり、一部検出された事実を23日に明らかにした。
特定水質有害物質(以下 ‘特定物質’)は水質汚染物質のうち、微量であっても人や水生体系に急性・慢性的に重大な危害を与えるおそれのある物質であり、銅や鉛など25項目を指定・管理中である。
 

最近、許可・申告の内訳を変更したり、特定物質の排出していると疑われる施設60ヶ所の原廃水または放流水を採水・分析し、特定物質の排出現況を把握した結果、調査施設の50%である30ヶ所から最小1つ、最大10つの特定物質を無断で排出していたことが明らかになった。
排出頻度数が高い物質はフェノール、銅、シアン、六価クロム、クロロホルムなどである。
特に、主な上水源に直接影響を与える水系に、特定物質排出施設の設置を厳しく制限している ‘排出施設設置の制限地域’ 内でも、特定物質を排出していることが明らかになった(29ヶ所のうち8ヶ所)。
※ 排出施設設置の制限地域:主な上水源に影響を与える水系の特定物質排出施設の立地を制限するために、水系影響圏域別に排出施設の制限地域(総13,102.3 km2)を指定・告示(第33条)


その反面、14ヶ所からは銅など単一物質が飲み水レベル以下に検出され追加調査が必要であり、16ヶ所からは特定物質が検出されていない。
このような状況は、最近の産業高度化により排出工程や汚染物質などが複雑で多様化される流れではあるものの、地方自治体の認許可業務はこれを検討する専門的検討システムがなく、形式的に書類検討だけの手続きで運営されているためと推定される。
これと共に、企業などが虚偽の認許可を受けた場合でも、ペナルティや不利益などを受けないため、認許可申請書に水質汚染物質の排出項目を意図的に外す事例が蔓延るのも主な原因として挙げられた。
環境部では、今回の調査結果を基に、環境監視団による捜査及び管轄の自治体に行政処分を行うよう依頼する予定である。


また、既存施設の管理監督を強化するために、自治体では全国の排出営業所に対し特定物質排出実態を立地制限地域、1~3種施設など主な地域・施設から段階的に調査し、措置する計画である。
環境部関係者は “検証式許可制の導入、許可内容の更新制度導入、技術検討の手続きを新設するなど、現行の認許可制度を全面的に改善する計画である”と述べ、 “廃水排出の新設認許可制度に対する根本的な制度改善を進め、専門的で信頼できる制度運営により、環境汚染の未然予防機能を実現する” と述べた。


原文リンク

 

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