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半導体事業場一部工程で、ベンゼンなど発がん性物質が極微量副産物として発生 2012-02-06

 

半導体事業場一部工程で、ベンゼンなど発がん性物質が極微量副産物として発生

-産業安全穂研究院、精密作業環境研究(’09~’11年)の結果発表-

 

韓国産業安全保健公団の産業安全保健研究院は、2008年半導体産業労働者の白血病の危険度を調べるための集団疫学調査(注1)の後措置の一環として2009年から3年間実施した「半導体製造事業場精密作業環境評価研究」結果を発表した。

注1 集団疫学調査結果(2008.12.29発表)

半導体工場で仕事をする女性労働者がリンパ腺造血器系統の癌である「非ホジキンリンパ腫」にかかる危険が一般人に比べて、2倍以上高く、特に組立工程生産職女性の危険度は5倍以上高い(女性全体:2.67倍、生産職:2.66倍、組立工程生産職:5.16倍)

 

今回の研究は、最初に白血病が発生した事業場及び類似工程がある事業場(3社)のウェハー加工ライン及び半導体組み立てライン工場を対象として白血病誘発因子 であるベンゼン、ホルムアルデヒド、電離放射線などの露出特性を評価したものである。


研究結果によると、ベンゼンはウェハー加工ライン と半導体組み立てラインの一部工程で副産物として発生する(加工ライン: 不検出~0.00038ppm、組み立てライン: 0.00010~0.00990ppm)と確認された。 露出基準の1ppmより低く、人体に直接の影響を及ぼす水準ではないが、発ガン性物質という点で管理が必要だとした。
 
ホルムアルデヒドも副産物として発生した。加工ラインでは自然環境水準(0.001~0.004ppm)で、組み立てラインでは自然環境水準より若干高く検出(0.002~0.015ppm)されたが、露出基準の0.5ppmよりは低い水準であることが明らかになった。

 

電離放射線は、ウェハー加工ラインと半導体組み立てラインで測定(0.011~0.015m㏜/yr)されたが、個人露出線量限度(放射線作業従事者50m㏜/yr)よりは低い水準である。

 

また、白血病誘発因子ではないが、肺ガン誘発因子といわれるヒ素は、ウェハー加工ラインのイオン注入工程 (インプラント)の副産物として発生し、露出基準の0.01mg/㎥を超過(0.001~0.061mg/㎥)する例も確認された。特にイオン注入工程維持補修作業を遂行する協力業者 の労働者は露出危険が高いため、これに対する対策が必要だと明らかにした。
 
産業安全保健研究院は「今回の研究結果に基づいて、今年の上半期中に半導体産業の労働者のための『健康管理ガイド』を製作・配布し、安全保健管理者などを対象とする説明会を開く計画」と明らかにした。
 
雇用労働部は「発ガン性物質が作業工程の副産物として発生する可能性があることを明らかにした今回の研究の意味は大きい」とし「今回研究対象であった3社に対しては、局所換気装置補完などの施設改善、副産物として発ガン性物質が発生する有機化合物を安全な物質に代替するほか、作業環境測定・特殊健康診断の追加実施及び協力業者の労働者健康保護対策勧告などを是正するよう措置する」と明らかにした。
 
また労働部は、他の半導体業者に対しても今回の研究結果による保健管理対策を中心に点検を実施するほか、危険性評価補完などの必要な措置を取る計画と明らかにした。

 

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